Cisco Meraki Japan主催の「第3回Cisco Catalyst MerakiD-1 グランプリ」に、株式会社サンエルとして参加し、審査員特別賞を受賞しました。 この記事ではD-1グランプリの概要とサンエルの応募作品の詳細をご紹介します。
また、実証実験を実施しましたのでその様子を簡単にご紹介します。
Catalyst MerakiD-1 グランプリとは
概要
Developer-1、略して D-1 グランプリは、Cisco Meraki Japanが主催するコンテストです。このコンテストでは、DX 化を推進するなかで Meraki および Catalyst 製品のプログラマビリティや他のアプリケーションとの連携による新しい価値を創出する作品を作成・発表します。
一次審査では作品説明資料と作品実行動画を提出し、ファイナリストに選出された場合は六本木のシスコシステムズ本社にて10分間のプレゼンを行います。
サンエルの過去の実績
サンエルはシスコシステムズ合同会社の過去のコンテストにも参加しています。
- 第4回シスコテクノロジーコンテスト
- 作品名: Webex Teams Work Time Management System for Smart Phone
- 受賞: 審査員特別賞
- 概要: Webex Teamsを利用したスマートフォン向けの勤務時間管理システム。
- 第5回シスコテクノロジーコンテスト
- 作品名: プロジェクト管理をコンシェルジュのようにサポートするシステム Xcon
- 受賞: 審査員特別賞
- 概要: プロジェクトの立ち上げから日々の会議開催までのワークフローにおいて Webex をより便利に活用できるようサポートするシステム
これらの実績を背景に、サンエルはCiscoのエコシステムパートナープログラムにも参加しています。
作品について
テーマ
コンテストでは以下の5つのテーマの中から一つを選び、それにそった作品を作ります
テーマ一覧
- グリーン、GX、サステナビリティ
- 少子化対策・高齢化対策
- 災害対策・支援
- サイバーセキュリティ
- 教育・労働改革
コンテストでは以下の5つのテーマの中から一つを選び、それにそった作品を作ります
私たちは今回、「労働改革」「サイバーセキュリティ」のテーマを選択しました。
近年は病院や企業がランサムウェアによる攻撃を受けるケースが増えており、システムの脆弱性に対する問題意識は非常に高まっています。
現状の課題
- 定常監視業務: 複数の情報システムを一度に監視することの困難さ。
- 例えば、ネットワーク監視、サーバー監視、セキュリティ監視がそれぞれ別々のシステムで行われており、それらのダッシュボードを常時表示させることが求められます。しかし、実際には全てを常時監視するのは難しく、ログアウトされたまま放置されているケースも少なくありません。
- システム画面の複雑性: 多くの情報が一度に表示され、何を重視すべきかの判断が難しい。
- 各システムのダッシュボードに表示される情報量が多すぎて、どの数値を注意して見れば良いか分かりにくい。また、全ての正常値を把握しているわけではないため、表示されている数値が正常かどうか、普段とどう違っているかを判断するのも難しいです。
- 障害対応業務: 大規模な施設での問題調査が困難で、対応に多大な時間がかかる。
- 施設の規模が大きく、監視システムが複数あるため、問題が発生した時にどれを見て何をすべきかは、対応者の経験と勘に頼ることが多く、調査に多くの時間と労力を要します。
システムでの解決策
複数の監視システムをAPIで連携し、一つの画面で必要な情報のみを表示することで、障害の原因特定を容易にします。それにより具体的な調査と対応に移るまでの時間を短縮し、対応者が本来の業務に集中できることを目指します。
- シンプルなインターフェース
- 重要な警告や情報だけを一目で確認できるように、画面上にパトランプを配置し異常がある場合に点灯させる。
- 異常を検知したら何の項目における異常なのかを表示する。
- 情報詳細へのアクセス
- 詳細が必要な場合はCatalyst CenterやSNAなどを直接参照できるようリンクを貼る。
- ワンアクションでのデバイス検索
- 少しでも時間が惜しい障害対応時に、一手でデバイスの詳細情報が見れる。
作品説明
作品名
監視業務をスマートにかんたん統合ビュー
Catarist Center, SNA(Secure Network Analytics), ZabbixのAPIを利用して、重要なデータだけを視覚的に表示する画面を構築しました。各種イベントや健康スコアが基準値を下回ると、インターフェース上で色の異なるパトランプが点灯します。
- Catalyst Center: Ciscoのネットワーク監視および管理ツールです。ネットワークの健康状態やパフォーマンスを評価し、問題が発生した際に迅速に対応できるように設計されています。
- Health Score: ネットワーク全体の健康状態を示すスコア。基準値を下回った場合、パトランプが黄色もしくは赤に点灯します。
- ISSUE: ネットワーク上で発生した問題(Issue)を検出します。レベル1のIssueを検出した場合は赤、レベル2のIssueを検出した場合は黄色のパトランプが点灯します。
- 機器のIPアドレス検索: IPアドレスを入力すると、その機器の情報を取得できます。
- SNA(Secure Network Analytics): ネットワーク全体のパフォーマンスをリアルタイムで監視・分析するためのツールです。ネットワークの最適化やトラブルシューティングに役立ちます。
- Recon: ネットワーク上で行われる偵察(Reconnaissance)活動を表す値です。Reconが基準値以上になった場合、パトランプが赤に点灯します。
- Zabbix: サーバーやネットワークデバイスのパフォーマンスや可用性を監視します。多くの企業で使用されており、柔軟なアラート機能を提供します。
- Event: Zabixが監視するシステム上で発生したイベント(問題や異常)を検出します。検出した場合、パトランプが赤に点灯します。
実証実験
今回は病院様に試験的に導入いただき、上記の課題にアプローチできているか検証しました。
こちらの病院様では、かんたん統合ビュー導入前は複数のシステムのダッシュボードをディスプレイに順番に表示して、ネットワークの状況を監視していました。
多くの情報が一目で確認できますが、必要な情報がどれなのかすぐに判断するにはトレーニングが必要です。 異常を検出した場合も、ダッシュボードの表示はそこまで変わらず気づきにくいという問題がありました。
かんたん統合ビュー導入後は、UIを極限までシンプルにしたことで、一番重要な情報である「今問題が起きているのか」を一瞬で判断できるようになりました。
さらに問題が起きた場合は、パトランプ下に表示されるリンクから各セキュリティシステムのダッシュボードに飛ぶことができ、手元のデバイスで障害情報の詳細を確認できます。
担当者様の方からは
「ひとつの画面でシンプルに見えて、トラブルが1回でわかるところが大変よかった」
「ネットワーク担当以外の人でも一目瞭然なので、すぐに確認してもらえて担当に引き継げるのもいいです」
等、高く評価していただけました
今後の展望
本プロダクトはセキュリティ業務の効率化を考えている組織にとって共通の課題を解決します。そのため医療業界だけでなく、他業界にも展開していけると考えています。 またプロダクト自体も、他のセキュリティシステムとの連携や、Merakiのセンサー類を利用した院内IoTデバイス情報の取得等に対応することでさらに価値を高めていきたいです。
まとめ
今回はサンエルが挑戦した第3回Cisco Catalyst MerakiD-1 グランプリの様子についてご紹介しました。
他にも面白い作品を作っているチームが多い中で審査員特別賞をいただけたことは光栄です。大量の複雑なデータから本当に必要なデータを抜き出し、ユーザーに見やすい形で提示できるというSunLの強みを評価していただいた結果だと思います。
コンテストの応募作品として作成したアプリではありますが、今後も社会の課題解決に活用できるようブラッシュアップしていきたいと考えています。
また今回D1グランプリを通じて、現状の課題を明確にし、解決方法を考え、実行するという経験を得られました。今後もこのような機会があれば積極的に挑戦して経験を得て成長に繋げたいと思います。
第 3 回 Catalyst Meraki D-1 グランプリについてはこちら