ハードウェア

MacBookPro2020を分解清掃してみた

菅野

こんにちは、開発部長の菅野です。今回は趣味的な話です。私は家電製品や子どもの玩具を分解修理するのが大好きなのですが、今回は私が以前使っていた不調のMacBookProを復活させるべく、ダメ元で分解清掃したいと思います。

MacBookを長い間使い続けていると、以前より動きが遅かったり、レインボーカーソル(風車)が良く出るようになったり、ファンが高回転する頻度が高くなったりしませんか?

私が以前使っていたマシンはMacBook Pro(13インチ, 2020)でしたが、まさにこの症状でした。特に困ったのはスリープモード中でもファンが止まらないことです。これに関しては多数報告があがっており、IntelMac+特定のOSバージョン+Chromeで起こるのでは?ともコミュニティで言われているようです。

https://discussionsjapan.apple.com/thread/255505101?sortBy=rank

他の症状としてはkernel_taskがCPUをガッツリ使っていて動作が重くなることです。購入から4年経過しており業務に支障が出ていたのでマシンを新調しましたが、2020年モデルを捨てるには勿体ないのでなんとか使えないか?と思っていたら、どうやら分解清掃すれば解決した、といった内容がいくつか見つかったので、大好きな分解清掃を行うことにしました。このMacBookはApple下取りプログラムでも返却されたので、廃棄するぐらいなら最終手段としてやってみようと思います。

なお、この作業は私が分解好き、修理好き、という私個人の嗜好に寄るところが大きいです。繰り返しになりますが、廃棄するくらいならやってみよう、というのが前提になりますので、最悪壊れても良い、という覚悟が無いならやめた方が良いです。作業難易度やリスクを考えると、一般的にはカメラのキタムラなどAppleの正規サービスプロバイダーに診てもらう方が安全です。

ユーザー自身が分解するとAppleのサポートが受けられなくなる可能性があります。またMacBookの分解は方法を誤ると最悪パーツを破損する場合があります。自己責任で行って下さい。

結論

kernel_taskが暴走することもなく落ち着いています。一定の効果はあったと思われます。

事前準備

iFixitで自分のマシンを事前調査

iFixit(アイフィックスイット)は世界最大の修理コミュニティサイトです。この日本語版サイトがあります。まずはこのサイトで自分のマシンの修理情報を見つけましょう。年式によって内容が多少変わります。

そして、正直言ってこのサイトを見ながらやれば問題ないです。画像付きでかなり詳しく書かれてますので、このサイトを見ながら作業すれば分解できると思います。

菅野

それではこの記事がココで終わってしまうので、この記事ではiFixitでは分かりにくかった部分や、道具選定情報など補足しながら解説していきます。MacBook Proは2016年以前はネジを外せば比較的簡単に開けることができたようですが、2017年以降は開けるのにコツが必要で、非常に苦労しました。

作業道具

ポイント

  • P5ペンタローブドライバー
  • バキュームリフター
  • 三角オープナー
  • エアダスター

最初のハードルが道具の確保です。MacBookは普通のドライバーではあけることができません。星型1.2mmのP5ペンタローブドライバーが必要です。また、底蓋を外すのにバキュームリフターを使います。どちらもAmazonで千円くらいで買えます。また隙間を広げるために三角オープナーが必要です。ギターピックみたいなやつで、こちらも千円くらいで買えるようです。高くても良いから一式まとめて欲しい、という方は
「iFixit Essential Electronics Toolkit 」
がオススメです。Amazonで6千円くらいで買えるようです。高価な分、品質は確かなようです。

菅野

iFixitのツールキットを買うか、かなり迷いました。品質は確かなようだし、一式全部揃うし、なによりカッコイイんですよね。ツールが。まだやったこと無い作業にいきなり6千円は出せなかったので、今回はペンタローブドライバーとバキュームリフターを購入し、三角オープナーは精密ドライバーで代用しました。

バッテリー残量を25%以下にする

iFixitに記載されていますが、安全に作業するためにバッテリー残量を25%以下にします。充電せずに放置しておけば良いですね。

これで事前準備完了です。

いざ、分解清掃

今回作業するのはMacBook Pro(13インチ 2020)ですので、iFixitのこちらのページを見ながら作業します。

MacBook Pro 13インチ Two Thunderbolt Ports 2020 下部ケースの交換

自動起動無効

開封前に1点やることがあります。それは自動起動を無効にすることです。2016年以降のMacBookProには蓋を開くと電源が入るようになっています。これをOFFにしないと作業中に電源が入ってしまう可能性があります。

ターミナルで以下を実行して、無効にします。

sudo nvram AutoBoot=%00

先に構造を把握します

これからボトムケースを開けるのですが、個人的にはかなりコツが必要だと思ってます。理由は、ある程度力を入れないと外れないからです。

菅野

これ以上力入れたら壊れないか?と思うくらい、簡単には外れないようになっています。しかも、力の入れ方を間違えるとパーツが破損するので注意が必要です。どうやって接続されているのか、先に把握しておいた方が安心ですので、先にボトムケースを外した状態をお見せします。

本体とケースを並べると構造が良くわかります。中央の4つが上下で接続されており、これがかなりキツめにハマっているため、オープナーでテコの原理で開けないとなかなか外れません。そして最大の罠は上部の横長い金属です。これが刺さった状態になってますので、ケースを全体的に上に持ち上げて外してしまうと、ここの金具が壊れてしまいます。なので、最初は上に力を入れて4点を外し、そのあと下にスライドさせて外す、という順番になります。

ネジを外す

外す箇所は6箇所です。力を入れなくても比較的簡単に外れます。

オレンジの箇所は非常に小さいので無くさないように保管しましょう。特に後述するエアダスターの時、ネジを不用意に置いておくと吹き飛びます(私はやらかしました)。

バキュームリフターで持ち上げて中央部のフックを外す

下の方、つまりトラックパッドの方にバキュームリフターをつけて引き上げます。この時力いっぱいで引き上げないでください。少し隙間ができるくらいで十分です。また、この段階では上部の方は隙間ができないので無理に引き上げないようにしてください。

バキュームリフターで少し隙間ができたら、隙間にドライバーを挟んで少しづつスライドして行きます。中央付近まで来たらテコの原理でボトムケースを持ち上げます。この時一気にやりすぎると上部(ディスプレイが付いている方)のスライド金具が破損しますので、少しづつやりましょう。ポイントは、この時点で外れていない上部部分を広げない(開けようとしない)ことです。おそらくですがドライバーより三角オープナーの方がやり易いと思います。また、フックが外れる時「バキ」という結構大きい音がしますが、それは正常です。

ボトムケースをスライドさせて外す

ここから下にスライドしてボトムケースを外します。これが、なかなか外れないんです。で、私が編み出した方法はドライバーの穴にドライバーを挿して手前に引く方法です。これで少しズレたら、あとは素手で簡単にスライドできました。

無事開きました。思ってたよりはキレイですね。もっとファンにホコリが詰まってるのを想像してました。

清掃

それではエアダスターを使って掃除します。間違っても素手で触らないで下さい。

これでキレイになりました。あとは元に戻すだけです。

後始末

あとは逆の手順で元に戻すだけです。戻すのは簡単だと思います。最初のスライドさせてハメるところは少し力が必要ですが、ハマらない場合は金属パーツが噛み合ってない可能性がありますので、その場合は一度外してやり直してみましょう。

終わったら起動して、最後に自動起動設定を元に戻します。

sudo nvram AutoBoot=%03

これで作業完了です。

感想

う〜ん。私は好きなのでやりましたが、正直オススメできないですね。確かに問題が改善したような気がしますが、もう少し使ってみないとなんとも言えませんし、なにより作業リスクが高すぎます。今回は最悪廃棄する予定だったものだったので良いですが、問題なく動作するならAppleの下取りプログラムに出した方が良いと思います。

私はLenovoのX200という15年近く前のマシンを修理し続けて未だに使い続けていますが、分解難易度が全然違います。MacbookはもうAppleが意図的に素人が分解できないようにしているとしか思えません。

実は今回分解清掃したMacbookはバッテリーが交換推奨になっているのですが、バッテリー交換はさらに難易度が上がります。Lenovoならドライバーでバッテリーを外して指し直せば良いだけですが、Macbookのバッテリーは接着されているのでリムーバーで剥がす必要があるようです。もはや素人が手が出せるレベルではないと思います。

おまけ

ついでにもっと古いMacBookPro(13インチ2017 Touchbar非搭載)があったので、こちらも分解清掃してみました。

このモデルはファンが1つしかないんですね。知らなかった。先程の2020よりも、もっとホコリが溜まってますね。エアダスターでキレイにしました。

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